「しりあがり寿原作「真夜中の弥次さん喜多さん」で
人気脚本家・宮藤官九郎がついに映画監督デビュー!

「撮影中の1ヵ月半というのは、言ってみれば1ヵ月半の“映画撮ります祭り”みたいな(笑)。トラブルが起きたり、つらいこともあったんですが、その非日常の中でのことですから、結局今思えば楽しかったんだなーと思えるんですけどね」と振り返った宮藤官九郎監督。朝一番からの取材で、登場した時は少々眠そうだったが、公開を目前に控えて作品の手ごたえを聞くと、「時代劇というやりたいことをやりづらい状況の中でいうと、やり尽くした感はあります」と力強く断言。


「“映画を撮る”というより、
“『弥次喜多』を撮る”という意識が先でした」


「GO」や、「ピンポン」、「木更津キャッツアイ 日本シリーズ」など、若者の心を掴むオリジナルな感性で作品をヒットに導いてきた人気脚本家、宮藤官九郎が、満を持して映画監督デビューを果たす! すでに大きな話題を呼んでいる宮藤官九郎初監督作「真夜中の弥次さん喜多さん」がついに完成し、公開を間近に控えて、多忙を極める宮藤監督が単独インタビューに応じてくれた!

原作は、しりあがり寿による同名コミックをはじめとする3作。十返舎一九の「東海道中膝栗毛」でおなじみの弥次さん、喜多さんが、しりあがり寿というフィルターを通すと、男同士、ディープに愛し合う弥次さんと喜多さんとなり、現実と幻覚の区別がつかなくなった喜多さんのヤク中を治すために、ふたりしてお伊勢さんを目指す旅として描かれる。

「映画監督って興味はありましたけど、できるとは思ってなかったですね」という宮藤監督は、映画化よりもずっと以前、「雑誌に連載していた時から、本当にファンとして単行本を買って読んでたんです」というほど、原作ファンを自称する。

「僕が二十歳くらいで舞台をはじめようと思っていた頃、マンガが好きなのでいろいろ読んでいる中で、しりあがりさんの発想とか考え方を、舞台とか自分なりの方法でやれないかなと思っていて、いっつもしりあがりさんに影響されてたんです。しりあがりさんの原作に忠実でありつつ、自分の持ち味をいかすにはどうすればいいかなと考えると、今回は “映画を撮る”っていう意識よりも、結局僕は “『弥次喜多』を撮る” ということが先だったと思うんです」

そんな願ってもない強力な原作を得て、その上で自身の世界をしっかりと展開させた映画「真夜中の弥次さん喜多さん」は、ある意味、ふたつの才能がひとつに結実して生まれた作品と言える。

「『弥次喜多』いいねって言ってもらえるのは
長瀬智也くんと中村七之助さんの力です」


ワイルドな男前、弥次さんこと弥次郎兵衛を演じるのは、宮藤脚本のテレビドラマ「池袋ウエストゲートパーク」で主演を務めたTOKIOの長瀬智也。
「長瀬くんとは『IWGP』で本では仕事したことがあるんですけど、その時はそれほど長瀬くんのことをよく知らなかったんですね。ギャグのセンスがある人だから、僕の本以上にやってくれたんですけど、すごい面白いと思い始めたときにドラマが終わっちゃったということもあって、長瀬くんともう1回やりたいなと思っていました」

一方、禁断症状と闘うヤク中の役者、喜多さんこと喜多八を演じるのが、「着物でお芝居をするとか、時代劇の立ち振る舞いとかが自然にできて、なおかつ現代人の要素も持ってる人」という監督の希望から、歌舞伎界に身を置きながら、「ラストサムライ」などの映画でも活躍する中村七之助。

原作を目にした事のある人ならなかなか想像できない、意外なキャスティングとも言えるが、宮藤監督は脚本を書く際に「ふたりを想定していた」とのこと。

「結果として、イメージ通りというか、イメージ以上でした。あれだけ脇の人たちがしっちゃかめっちゃかにやっている中で、それを受け止めつつ、自分たちのキャラクターという意味では絶対に崩れてないので、最後はやっぱり『弥次喜多いいね』って言ってもらえるんですよー。それはやっぱりふたりの力だと思うんです」

「脇の人がしっちゃかめっちゃかやっている」という話通り、映画では、宮藤作品の常連組、阿部サダヲや古田新太をはじめ、山口智充、竹内力、板尾創路といった超個性的な面々が、「競い合ってるのか?」と問いかけたくなるほどの強烈な扮装で登場し、そのインパクトは絶大! 脇役のキャラクターが作品の魅力を膨らませるというのは、宮藤作品のおもしろさのひとつだが、自身が監督した今回の作品に関しては、すべての登場人物への愛情が感じられるほど。

「連続ドラマだったら、例えば『マンハッタンラブストーリー』のイボリー(※演じたのは尾美としのり)みたいに、2~3シーンしか出てなくても毎週登場すると観ている人には『イボリー出てこないかな』ってすり込みができるんですが、映画だとなかなか難しいなーと思ってたんですね。だから自分で監督するなら、1シーンだけしか登場しないような人でも、ビジュアルのインパクトとか、登場するまでにどう引っ張るかとか、出てきた時に『おおっ!』って思わせるように意識しました。ま、それがちょっと多かったとは思うんですけど…(笑)。登場シーンが少ない人にも『宮藤くんの作品に出られて楽しかった』と思ってほしいんですよね」

喜多さんの禁断症状による幻覚の世界に迷い込み、さまざまな人に出会い翻弄されながらも、「てやんでぇ!」「べらんめぇ!」の勢いでお伊勢さんを目指す弥次さん喜多さん。その問答無用、抱腹絶倒の旅の行方やいかに!? 観客の予想を遥かに超越したその結末は、ぜひスクリーンで!!


【宮藤官九郎 PROFILE】
1970年宮城県生まれ。1991年より、松尾スズキ率いる人気劇団、「大人計画」に参加し、俳優兼演出家を務める。テレビドラマ「池袋ウエストゲートパーク」(2000)の脚本家として注目を集め、「木更津キャッツアイ」(2002)では、芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。脚本を手掛けた映画としては、日本アカデミー賞最優秀脚本賞など多数の映画賞を受賞した「GO」(2001)や、「ピンポン」(2002)、「アイデン&ティティ」(2003)、「ドラッグストア・ガール」「ゼブラーマン」「69 sixty-nine」(2004)などがある。そのほか、映画の出演、バラエティ番組の構成作家、パンクコントバンド「グループ魂」のギタリストなどなど、いくつもの顔を持ち、多面的に活躍する。

【STAFF&CAST】
監督・脚本:宮藤官九郎 原作:しりあがり寿 音楽:ZAZEN BOYS 出演:長瀬智也 中村七之助 小池栄子 阿部サダヲ 竹内力 山口智充 ARATA 荒川良々 中村勘九郎 古田新太 松尾スズキ 妻夫木聡 研ナオコ(2005アスミック・エース)

■「真夜中の弥次さん喜多さん」は4月2日(土)よりシネマライズ、池袋シネマサンシャイン、新宿ジョイシネマ、名古屋では4月16日(土)よりセンチュリーシネマほか、全国で順次公開 。



(取材・文/編集部:相川祐希実)
http://www.walkerplus.com/movie/report/report3395.html






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